美容医療クリニックと聞くと、「補助金の対象外なのでは?」という印象を持つ経営者の方も少なくありません。しかし、医療法人でなく、自由診療を主とする法人クリニックであれば、中小企業支援策の中で活用できる補助金や助成金が複数存在します。これらの制度を正しく理解し、自院の戦略にあわせて活用することで、広告宣伝・IT導入・設備投資など幅広い分野で経営強化につなげることが可能です。
本コラムでは、美容医療業界で活用可能な補助金制度の全体像と、活用の基本的な考え方について整理しながら、制度選びの第一歩をご案内します。
■ 補助金活用の前提:「医療法人でないこと」がポイント
まず前提として、補助金の多くは「中小企業基本法」に基づき、株式会社・合同会社など営利法人を対象としています。医療法人は多くの補助金の対象外となることが多いのに対し、自由診療を中心とする法人経営の美容クリニックは、補助金制度の対象に含まれやすいという特徴があります。
■ 美容クリニックで活用可能な主な補助金制度
以下は2024年度〜2025年度(最新情報ベース)で、美容クリニックが実際に活用可能な主な補助金・助成金制度です。
【代表的な補助金制度】
1. 小規模事業者持続化補助金(販路開拓・広告宣伝費支援)
補助上限:50〜200万円(補助率:2/3)
公募ページ:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2025/250501jizoku_01.html
2. IT導入補助金(予約・CRM・電子カルテ等ITツール導入支援)
補助上限:450万円(補助率:1/2または2/3)
公募ページ:https://it-shien.smrj.go.jp/
3. 事業再構築補助金(新メニュー導入や設備更新に:第13回で終了済み)
補助上限:2,000万円~1億円(枠により異なる)
公募ページ:https://jigyou-saikouchiku.go.jp/
■ どの補助金を選ぶべきか?
たとえば、開業1年目で広告予算に不安がある場合は「持続化補助金」、来院管理や予約管理を効率化したいなら「IT導入補助金」、新しい新事業の創出には「事業再構築補助金」など、目的に応じた選定がカギとなります。
新事業の創出においては、他の補助金も検討できます。
■ 採択されやすい申請のポイント
・将来の経営ビジョンが明確に描かれていること
・「新規性」「革新性」がある取り組みであること
・数値計画(売上・利益・客単価)に具体性があること
・根拠ある事業計画と、具体的な支出項目が書かれていること

