「広告を出したいが予算がもう少しほしい」「ホームページを整えたいが後回しになっている」といった課題に直面することもあるかもしれません。特に開業間もないクリニックでは、限られた経営資源の中で集客施策を最大限効果的に展開する必要があります。
そんな時に活用したいのが「小規模事業者持続化補助金」です。この補助金は、販路開拓や集客強化を目的とした取り組みに対して最大200万円の補助が受けられる、中小企業支援の定番制度です。美容クリニックのようにサービス業に分類される法人にとっても利用可能で、実際に採択されている事例もあります。
■ 補助金の概要(2025年度版)
・名称:小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>
・補助上限額:50万円(特定枠は200万円まで)
・補助率:2/3(賃金引き上げ特例のうち赤字事業者は3/4)
・主な対象者:常時使用する従業員が5人以下のサービス業(会社・個人事業主問わず)
・対象経費:機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、借料、委託・外注費
・対象となりうる者:会社及び会社に準ずる営利法人、個人事業主(商工業者であること)
・補助対象にならない者:医師、歯科医師、助産師、医療法人、一般社団法人など
・公式サイト:https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/2025/250501jizoku_01.html
■ 美容クリニックでの主な活用シーン
たとえば以下のような取り組みが想定されます。
・Instagram広告とLINE公式アカウントの開設・運用費用
・開院告知のためのポスティング用チラシの作成・配布
・新規顧客向けキャンペーンページを含むホームページ制作
・来店促進のための外観サインの設置費用
・試供品(販売用商品と明確に異なるものである場合のみ)
・街頭ビジョンやデジタルサイネージ広告への掲載
こうした費用のうち、最大3分の2が補助されるため、限られた予算で効率的な集客戦略を展開することが可能です。(ウェブサイト関連費には上限ありのため注意)
■ 採択されるためのコツ
小規模事業者持続化補助金は毎回申請数が多く、採択されるにはポイントを押さえた申請書作成が必要です。
・「ターゲット(誰に)」「価値提供(何を)」「施策(どうやって)」を明確に
・売上向上や認知拡大との関係性をロジカルに記述
・数値目標を設け、広告効果やリピート率向上を数値で示す
・同業他院との差別化を盛り込む(強み・地域性・専門性)
たとえば「SNS広告を活用し、20〜30代女性をターゲットに、新規来院者を月20名増やす」などが考えられ、具体的なシナリオがあると評価が高まります。
■ 採択後の流れ
一般的には補助金は採択後にすぐもらえるわけではなく、交付決定申請→交付決定→事業実施→支払い→報告→精算という基本的な流れを踏みます(ものによっては違うものもあります)。
見積書・請求書・振込記録の保管が必須であり、事業完了報告の精度が低いと交付額が減額されるケースもあります。
■ まとめ
小規模事業者持続化補助金は、「初めての補助金」としても扱いやすく、特に集客・販促活動に強い効果を発揮する制度です。無料の専門家支援(商工会議所など)も活用しながら、採択を目指しましょう。
次回は、業務効率化に役立つ「IT導入補助金」について、導入例を交えて解説していきます。

