コラム

 “女性の体”はなぜ社会で語られてこなかったのか？生理、妊娠、不妊、更年期といったテーマは、長らく“プライベートな話題”としてタブー視され、職場や学校、公共の場では語られることすら避けられてきました。これは、女性の身体的変化や健康課題が“個人の問題”として矮小化されてきた社会構造の表れでもあります。多くの女性が症状に耐えながら働き続け、支援を求めることすら難しい状況に置かれてきました。フェムテックは、そうした“無意識の沈黙”に光を当てる存在なのです。続きをみる...

フェムテックは“現場の気づき”から始まるフェムテックという言葉が普及する以前から、女性医師たちは現場で多くの課題に直面してきました。とくに婦人科や自由診療の分野では、生理不順、更年期障害、PMS、不妊、出産後のケアなど、保険診療の枠に収まらない身体と心の悩みに対応してきたのは、患者と同じ女性として共感できる“女医”の存在です。彼女たちの声が、フェムテックの起点となっている事例も多く、まさに“現場発のイノベーション”として成り立っているのです。続きをみる...

1. フェムテックとは何か？フェムテック（Femtech）は、「Female（女性）」と「Technology（技術）」を組み合わせた言葉で、生理、妊娠・出産、不妊治療、更年期障害など、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品・サービス群を指します。近年、世界的にフェムテック市場が急成長を遂げており、女性のQOL向上やジェンダー平等の推進において、重要な役割を果たすと期待されています。この分野は単なるビジネスチャンスにとどまらず、社会課題の解決を目的とした“社会実装型イノベーション”として注目...

日本・韓国・中国・ベトナムの医療制度と美容医療市場をみてきました。制度・文化・成長段階の異なる4か国から、日本の強みと課題、そして可能性が浮かび上がります。最終回では、4か国の総括とともに、日本の美容医療が今後とるべき方向性を考察します。続きをみる...

経済発展と中間層の増加が著しいベトナムでは、美容医療市場が新たな成長分野として注目されています。制度整備が進行中でありながらも、韓国・日本からの影響を受けた美容医療文化が浸透しつつあります。本稿では、ベトナムの医療保険制度の概要と、美容医療市場の成長要因、そして日本にとっての示唆を考察します。【はじめに】続きをみる...

中国では制度の未整備と自由な市場環境が組み合わさり、美容医療市場が爆発的に拡大しています。都市化・中間層の台頭・SNS文化の普及が後押しする中、制度とのギャップやリスクも顕在化。中国の制度と民間市場の関係、そして日本クリニックにとっての可能性を探ります。はじめに続きをみる...

日本経済新聞朝刊の記事（風邪薬シップなどの保険適用、医師の6割「除外に賛成」）によれば、「OTC（市販薬）と類似する処方薬を保険適用から外す」ことに、勤務医の約6割が賛成する一方、開業医の多くは慎重な姿勢を示しています。この議論は、単なる「風邪薬」の話ではありません。それは、日本の医療制度における公的保険と自由診療の境界線を問い直すものでもあります。■ なぜいま「保険外し」が論点となるのか？続きをみる...

美容医療といえば韓国、という認識が世界中に広まっています。高い技術力、整った制度、そして国を挙げた医療観光戦略。韓国はどのようにしてこの産業を育ててきたのか？医療制度と美容医療市場の関係から、その構造を紐解きます。【はじめに】続きをみる...

韓国や中国では国家戦略として拡大する美容医療産業。一方で日本は、制度によって自費診療が厳しく制限されています。この違いが何を意味するのか？国民皆保険制度と混合診療の壁、美容医療の位置づけ、市場の可能性について紐解きます。【はじめに】続きをみる...

1. はじめに：制度の外にある医療が“主役”になるとき日本の医療制度は、公的保険によって誰もが必要な医療を受けられる世界に誇る仕組みです。しかし、その制度の枠組みでは対応しきれないニーズが年々増加しており、制度の“外側”にある自費診療の重要性が高まっています。人生100年時代を迎えた今、医療は単なる「治療」から「生き方を支える手段」へと変わりつつあります。続きをみる...